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夕会ノートより(2010年度④)

オレは小心であるが故にプライドが高い。傷つけられることを恐れ、人と親しく交われない。そんな臆病な本性を誰かに知られることが許せないから、表面上は人付き合いのよい明るい人間を装う。そのおかげで、自分で言うのも変だが、中学の時も一緒に騒げる友人は多い方だったし、今も地元に帰れば一緒に遊んだりしている。でも悩みを打ち明けられる相手がいるかと問われれば、あまり浮かばない。オレが困った時に助けてくれる人がいるかと問われれば自信がない。つかず離れず、無言で絶妙の距離を築く方法が、どうしてもうまく体得できない。どこにいても、誰といてもいつも自分が浮いている気がする。角が立たぬよう愛想よく振る舞い、けれど誰にも心を開けない。弱みを見せずに見栄を張る。そんな柳岡陽大の内側には、もちろん誰も踏み込んでこようとしない。寂しいと感じるのは屈辱だから、愛想ばかりがますますよくなる。そんな自分が嫌いだった。嫌いだということだけは分かっているけど、今さら生き方を変える術は分からないままだ。
でも剣道をやっている時は違った。剣道の団体戦は、一人でも欠けたらとても痛手になる。求められていることを実感できるし、遠慮もプライドもかなぐり捨てて、支え合うことができる。だけど試合をしている間は一人だから、他人の思惑や人間関係のしがらみから解き放たれて、自分の心と向き合える。試合をしている時は、明るく調子よく振る舞う必要がまるでない。居場所を得ることに汲々とし、人からどう見られているのか気になる心をひたすら御することに集中すればよい。
愛真に来て、一六年間生きてきて、初めて自分がどんな奴かはっきりと分かった。皆さんは自分がどんな奴なのかを知っていますか。自分の良い所も嫌な所も全部ひっくるめて、分からない所なんてないくらい知っていますか。自分で自分のキャラとかを決めつけて、それが自分なのだと思い込んでいませんか。愛真は本当の自分を見つける所だと思う。たくさん考えて、たくさん悩んで、長い長い時間をかけて。
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