「真の主体性」創立責任者のことば
主体性確立への道は、自分の魂のふるさとはどこにあるのか、本当の自己とは何か、という問いにまでさかのぼって、歩み直さねばならないことになる。そして、人間の一生とは、まず自分の家庭から始まって、一歩一歩自分のアイデンティティを探究しつつ進んで行く「自己探究の歩み」である、と言うこともできるであろう。(中略) そして実は、この自己同一性探究の終極に、イエス・キリストが立っておられるのである。このキリストの中に、真の自己を見出すとき、私のふるさとは天に在り、地においては旅人、やどれる者として生きて行くことになる。つまりこれによって、現実の国家やさまざまな共同体に対して、一つの距離を置き、これを批判的に克服しつつ、新しい日本、新しい共同体建設への立場を、獲得することになる。すなわち、天にふるさとを持つことによってこそ、真の主体性が確立されるのではないか。これが私の到達した一応の結論である。
(一九七三年、福岡での講演「主体性の基盤」より)
高橋三郎著作集第九巻p.89~90
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