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夕会ノートより(2023年度③)

夕会ノートより(2023年度③)
          
 一学期の真寮の寮目標は「I love youの訳し方」でした。愛にはいろんな伝え方がある。チューしたり注意したりしながらお互いの愛を伝え合っていこうというもの。
 
 私にはまだまだ愛を訳せない。愛を伝えるどころか、「愛する」ということが難しい。「愛する」は「好きになる」とは違うことを知った。「好き」は感情だが、「愛する」は感情の問題ではなく意志によるものだということ。それでもなお、人を愛することのできない狭く小さな心を持った自分自身の姿を見る。そもそも愛とは何なのでしょう。私が思う「愛」とは心にクッションを持つこと。一度受け止めることのできるフカフカのクッションを持つこと。
 
 私とあなたの正しさに違いがあることが難しい。私が正しいと思うことでも、あなたにとっては正しくないかもしれない。私が大切にしたいと思うことでも、あなたにとっては重要じゃないかもしれない。もし私の正しさを押し付けるだけになってしまったら、と想像すると怖くなる。だから私は逃げる。でも、目を逸らして逃げ続けることがだんだん辛くなってくる。同じ人間なんて存在しないのだから、人と人が違うのはあたり前だ。それぞれに良さがあって、きっとそれぞれに弱さがある。人間の思考に絶対的な正しさも正解もないんじゃないかと思う。人が人に対して良し悪しの区別はできない。だから私は、私の正しさを無理に押し付けることはしたくないし、同時に誰かの正しさに無理に合わせることもしたくない。でも永遠に交わらない平行線で歩みたいわけでもない。じゃあ結局どうしたいのかと言えば、一度受けとめることのできるクッションを持ちたい。「そうなんだ」と人を分かろうとする心を持ちたい。そのためには伝えなければ何も始まらない。私は今、伝えることから逃げている。
 
 気づけばもう3年目の夏。私はちっとも前に進めていない。「愛したい」と思っても人を愛せない小さすぎる自分を見た一学期。しかし何も聞かず、ただ背中をさすってくれた無条件の優しさをも見た一学期。そして私がどんなにちっぽけでも、人に話すとずいぶんと気持ちが整理される。昼となく夜となく見守ってくれている大きな存在を感じた一学期でした。           
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