卒業生感話(2010年度⑩)
早いもので三年間の愛真生活を終え、私はこの学校を離れようとしている。長いようで、あっという間の三年間だった。思えばこの三年の間にも色々なことがあり、それらは普通の中学や高校では考えられないほどに濃い体験ばかりだった。その度に様々な事を考え、悩み、泣いて、笑った。だが私はそれらを体験する度に、言葉に言い表せないモヤモヤを感じていた。今まで生きてきて、こんなモヤモヤを感じたことはなかったので、何だか体の中に変な異物があるという感覚だった。
そういった気持ちの悪さを感じながらも、私は何となくこの愛真で生きていた。だがある日、私は重大なことに気づいてしまった。それは、友人や先輩や後輩と話す際に、相手と同じ目線で泣いたり悩んだり、笑いたがっている自分がいるということだった。今までの私だったら、人の悩みを聞くどころか他人との関わりを面倒くさいからといって避けてきていた。なのに、今の自分は人との関わりを楽しみ、日々が楽しくなってきている。何なんだ、この変化は…。日々の変化に戸惑った私は何人もの人とぶつかって傷つき、傷つけた。その度に、体ではなく体の内側が潰れるような痛みを感じたが、痛むのは胃でも頭でも心臓でもない。そして痛むと思ったらまたモヤモヤし始める。だが、それを共有する誰かが側にいてくれれば、それは少しずつ消えていって、最後には笑顔になれた。
どんな時、どんなタイミングかは忘れてしまったが、このモヤモヤの正体は心だということに気づいた。そして、今思えば、この瞬間に林愛璃という人間の姿がハッキリ見えてきたような気がする。
私がもし愛真に来ていなかったら、どうなっていたのだろう。少なくとも、人間関係であんなに悩むことはなかっただろうが、人との関わりがあったからこそ、本当の自分に気づき、心というものを手に入れ、開放することができたのかもしれない。愛真に来て、私はやっと人間らしく生きることができた。それに関して、支えてくれた愛真の先輩、後輩、同期、先生方、家族、そして神様に感謝したい。
#キリスト教愛真高等学校 #愛真高校 #愛真 #島根 #江津 #高校 #全寮制 #キリスト教 #キリスト教学校 #感話 #高校生のことば #ことば #卒業感話 #卒業のことば